僕と妻は、結婚してもう6年ほどになる。
妻とは友人の紹介で知り合って、清楚な見た目と優しい内面に惹かれて結婚した。少しぽっちゃりしているけれど、その分、胸も尻もでかい。たしか、胸はFカップくらいで、
「太ってるから、大きくても当たり前なんだよ~」
とか言っていたのを覚えている。
実家の仕事を本格的に継いで、数年。
まだまだ慣れないし、仕事はハードで、朝は早くて帰りは遅い。

それでも妻はいつも献身的で、疲れてへとへとになって帰ったら、いつも清潔な家と、おいしい食事を用意して待ってくれていた。

もちろん感謝していたし愛情もあった。たまには夜の営みもあったけど、それもだんだん回数が減ってきてしまって、妻から誘われても「疲れているから」と避けるようになり、いつの間にか寝室も別になった。

それでも妻はいつも明るいし、最近では毎日ご機嫌で、ごちそうを作って待ってくれていたんだ。

あるとき、仕事中に体調を崩してしまい、早退させてもらうことになった。
帰宅してみると、専業主婦で基本的には家にいるはずの妻の姿がない。友達と出かけるとも、何も聞いていなかった。

体調が悪いときって、なんでかわからないけど、心細くなるんだよな。
それで、共用で使っているPCをつけて、インターネットで何か暇つぶしに動画でもみてみようかと思ったんだ。

普段は、各々、別のIDでログインして使っているから、使ったあとはきちんとシャットダウンしておくことに決めていた。けれどそのときは休止状態になっていて、妻のIDのままだった。

こんなこと今までになかったから、つい出来心で、ネットの履歴を見たんだ。そしたら、大手のSNSサイトに登録していることがわかった。

ログインしてみると、年齢を少し偽っていたことと、独身だと書いてあることに少なからずショックを受けた。
で、メッセージボックスを開いたら、一人の人物とばかり頻繁に連絡を取り合っていることがわかった。

そいつは自称ミュージシャンで、定職にはつかず、気まぐれにアルバイトをして生活しているらしい。実家くらしのため、親がうるさいとか、いろいろと愚痴をいっているようだった。

メッセージを読み進めていくと、どうやらそいつと、何度も実際に会っているようだった。
とにかく、この自称ミュージシャンの男を見張らなくてはと思い、不審に思われないように自分のIDでログインし直して、女性と偽ってアカウントを取得し、男へ友人申請を送っておいた。

ちなみに妻のIDからログアウトするときにメールボックスも見てみたら、チャットサイトに登録して副業していることもわかった。しかも、アダルトのもの。

アダルトな物の方が時給がいいらしく、金銭的にそんなに苦労させてしまっていたのだろうかと、一瞬罪悪感が芽生えかけたが、そんなことよりも浮気しているかもしれないということのほうが問題だ。

何事もなかったかのようにパソコンの電源を切り、ベッドで休んでいると、夕方になって妻が帰ってきた。
家にいる僕を見てとても驚いていたけれど、体調が悪いと伝えると、あたたかいおかゆを用意してくれた。

「ごちそうさま。今夜はすぐ寝ることにするよ」
そう声をかけて自室に戻り、スマートフォンでさっきのSNSにログイン。
自称ミュージシャンの男、Nから、「友人申請ありがとう♪よろしく」とのメッセージが来ていた。

自分のプロフィール画面には、ネットで拾ってきた素人の自撮り画像で胸のあたりがうつっているものを登録。
自己紹介に、いかにも頭の悪そうな女を装って、いろいろと書いておいた。
これで、不審に思われることなく、Nの日記やらボイスを確認することができる。

翌日Nの日記に、
「昨日も、俺のファンの女の子と会ってきました♪いっしょにうまいイタリアンを食べて、もちろんイイコトもして(笑)。それから帰ってきたよ~。また来週の同じ曜日には会う予定!マジ楽しみ!」
と書きこんであり、その日記のコメント欄には妻から、
「私も、またNくんに会えるのすごく楽しみ♪」
などと書いてあった。

妻が寝ている間にスマートフォンにこっそり、位置情報を調べるアプリをインストールしておいて、仕事にいくふりをして、その日は休ませてもらい、妻を尾行。

食事と買い物をして、男物の服とかを妻が買ってやって。それから、案の定ホテルへ。
妻とNの姿が見えなくなってから、すぐにフロントの人に、
「すみません。さっきの二人組の入って行った部屋がどこかわかりますか。あの女性、私の妻で、浮気されているんです!証拠をつかみたいんです!」
と、必死で訴えた。

アルバイトの子だったらしく、一万円札を握らせたら、簡単に部屋のロックも解除してくれた。
しばらく待ってから部屋へ突入。

妻は首のあたりまで全身を覆ういやらしい網タイツを着て、Nがその体をまさぐっている最中だった。
「何をしてるんだ!その女性は、僕の妻だ!」
大声で叫んだら、Nは飛びのいて、
「独身だって言ってたじゃないか!!」
って、大慌て。

曲作りのインスピレーションがわくとかなんとか言って、妻にいやらしいコスチュームを身に着けさせては、スマートフォンで写真を撮ったり、いかがわしい動画を撮ったりしていたらしい。

Nのスマートフォンを奪い取り、中身の動画を確認してみた。
妻が恥じらいながら、際どいポーズをとっている写真。自分で股を広げ、大事な部分を指で広げてしっかりと見えるようにしている写真。もちろん妻とだろう、接合部の写真。
そして、セックスをしている最中を収めた動画まで。

怒りで頭がくらくらして、殴りかかりそうになるのをぐっとこらえ、Nの番号や住所などを控えて、妻を連れて帰った。

妻に話を聞いたら、僕が仕事で忙しくて、構ってほしいと言い出せなかった。ほんとうは寂しかったけど、迷惑をかけたくなかった。Nは優しくしてくれたし、自分のことを必要としてくれたから、支えたいと思った。なんて、ふざけたことを言う。
結果として迷惑がかかっているじゃないかと怒鳴ったら、両手で顔を覆って泣き出した。

寂しい思いをさせたことは申し訳なかったと思うし、たった一度の浮気だ。これくらい大目に見られないでどうする。そう思って、その夜、仲直りの意味もこめてセックスの誘いをしてみたんだ。

そしたら、
「ごめんなさい……やっぱり私、Nがいいの……」
ってさ。

Nのために、貯金を崩してマンションを借りたり、すでにいろいろやってしまっていたらしい。
毎月のNの生活費にできるようにと、チャットサイトで稼いでは、Nに渡していたそうだ。そしてそのお礼として、妻はNに肉体的に癒してもらっていた、ということだった。

関係を修復できる自信もなくて、結局妻とは離婚した。あれから連絡もとっていないけれど、たまにチャットサイトで妻がいやらしい下着をみにつけて待機しているのを見かけるから、まだNに貢いでいるんだろう。